WELQ(ウェルク)問題と正しい医療情報

情報を吟味して正しい知識を得るためには?

問題になっている誤った医療情報サイトについて
最近、キュレーションサイトに掲載されていた誤った医療情報が問題となり、ニュースになっています。
本日は、正しい医療情報の探し方についてお話いたします。
エビデンスレベルを考慮しよう
インターネットの発達により、多くの情報を瞬時に得られるようになりました。便利な反面、私たちは大量に溢れる情報の中から、正しい情報を探し出さなくてはなりません。
コピペが簡単なインターネットは、誤った情報の拡散も起こりやすいので注意が必要です。つまり、多くのサイトに掲載されている情報だから正しいというわけではないのです。

そこで、エビデンスレベルを考慮して、情報を吟味する必要があります。
エビデンスレベルとは、証拠のレベル。

簡単に言うと、「近所の人が言ってた話」と「大学の先生が研究して論文で発表した話」とでは、その内容がたとえ同じであっても信憑性には大きく差があるということです。

多くのサイトに掲載されている情報よりも、信頼のおける権威があるサイトに掲載されている情報を探しましょう。
信頼がおけるサイトの見分け方
今回のWELQ(ウェルク)では、執筆者が不明の一企業が運営するキュレーションサイトであったため、情報の信憑性(エビデンスレベル)は著しく低かったといえます。ただ、GoogleやYahoo!の検索結果の上位に表示されていたため、信じてしまう方が少なくなかったという実態がありました。

信頼のおけるサイトか否かを簡単に判断するには、サイトURLのドメイン部分を見てください。

ドメインとは、URLの後ろの部分
たとえば、 http://www.osakado.cool の場合は、
.cool がドメインです。

このドメインが、
.ac.jp の場合は、大学などの教育機関
.go.jp の場合は、独立行政法人や政府機関
に限定され、信頼のおける情報発信元といえます。

大学であっても、 .ac.jp ではなく、 .jp や、 .com を使ってサイトを運営している例もありますが、簡単に見分けるには上記の方法が便利です。
ケミスト黒岩のおすすめサイト
一般の方向けにわかりやすく正しい情報を発信しているサイトに、下記があります。

慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト KOMPAS
http://kompas.hosp.keio.ac.jp

メルクマニュアル医学百科 家庭版(製薬会社MSD)
http://merckmanuals.jp/home/

みんなのメンタルヘルス 総合サイト
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/

難病情報センター(公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター)
http://www.nanbyou.or.jp

がん情報サービス(国立研究開発法人 国立がん研究センターがん対策情報センター)
http://ganjoho.jp/public/
添付文書が見れるサイトと注意点
先ほどのサイト以外にも、お薬の添付文書(説明書)を閲覧できるサイトがあります。

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
http://www.info.pmda.go.jp


ただし、お薬の添付文書は医療従事者向けに書かれていますので、専門用語や、極めて稀に起こる副作用が記載されているなど、一般の方にはわかりにくいと思います。

2016年3月、ロキソニン錠の添付文書の改定が記憶に新しいです。これは、重大な副作用小腸・大腸の狭窄・閉塞を追加するという改定でした。

ニュースでも報道されたこの改定で、「ロキソニンって危ない薬なの?」という不安を抱いた方もいらっしゃると思います。

ロキソニン錠の添付文書
http://www.info.pmda.go.jp

これは、重大な副作用という用語が専門的で、なんだか危なそうというイメージが先行したためと考えられます。重大な副作用は、副作用の頻度を示しているわけではなく、もし起こったら健康に重大な影響を及ぼすものです。添付文書を読むと、小腸・大腸の狭窄・閉塞以外にも、ショック、アナフィラキシー様症状、肝機能障害、黄疸などが重大な副作用に記載されています。

ロキソニンは、1986年に誕生して以来、30年以上、多くの方に服用されています。小腸・大腸の狭窄・閉塞(吐き気・嘔吐、腹痛、腹部膨満等があらわれる)の報告は、直近3年間で6例ですから、多くの方にとって引き続き安心してお飲みいただける薬といえます。
お近くの医師・薬剤師にご相談ください。
今までのお話の中で、正しい情報を探すのは意外と大変と感じた方が多いのではないでしょうか。

お近くの医師・薬剤師にご相談ください。

テレビCMでよく見かけるこのフレーズですが、情報吟味を行なって正しい情報を提供してくれるのが医療従事者です。なにか不調を感じた際は、ご自身で判断せずにぜひお近くの医療従事者にご相談ください。

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