雑学Vol.11「緊急避妊薬」vs「薬剤師」

緊急避妊薬「ノルレボ錠」について解説

こんにちは、ケミスト黒岩です。本日は、最近のニュースから緊急避妊薬(モーニングアフターピル)についてお話します。 いま日本では緊急避妊薬のスイッチOTC化が議論されています。スイッチOTCとは、医療用から転用された市販薬のことで、もし実現すれば薬剤師の対面販売により、薬局やドラッグストアで購入できるようになります。しかしながら、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」の検討結果を踏まえると、緊急避妊薬のOTC化はまだ先になりそうです。 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議 今回、緊急避妊薬のOTC化が見送られた理由としては、悪用や濫用などの恐れ、性教育の遅れ、また我々薬剤師の専門的知識が不十分という指摘があります。 詳しくは こちらの資料をご覧ください。 現状、要指導医薬品とした場合でも、原則3年一般用医薬品へと移行して、インターネット販売が可能となることから、BPC(Behind the pharmacy Counter)での販売が適当とする意見もあります。 医薬品の適正使用を促すことは大変重要ですが、緊急避妊薬は避妊の失敗後、遅くとも72時間以内、なるべく早くに服用しなければいけない薬です。緊急避妊薬を服用できないことにより起こる結果を考慮すれば、必要な人が必要なとき、速やかにアクセスできるように改善することが大切ではないでしょうか。 ノルレボ錠 さて、ここからは緊急避妊薬ノルレボ錠についてご説明します。現在、日本国内で承認されている緊急避妊薬はノルレボ錠のみですので、緊急避妊薬といった場合はノルレボ錠のことを指しているとお考えください。(適応外でプラノバール配合錠を処方する場合もあります。) ノルレボ錠は、避妊を失敗した場合などに緊急的に用いるものですので、低用量ピルのように計画的に妊娠を回避するものではありません。 そのため、繰り返しノルレボ錠が必要となる場合は、そもそもの避妊方法が不適切であることが考えられますので、医師・薬剤師に適切な避妊方法についてご相談ください。 また、ノルレボ錠は妊娠を高い確率で防ぎますが、100%妊娠を回避できるわけではありません。海外の臨床試験では、性交後72時間以内に1.5mgを服用した場合で、妊娠阻止率は84%でした。性交後72時間を超えて服用した場合には、妊娠阻止率は63%に減弱しますので、なるべく早くに服用する必要があります。 ノルレボ錠を飲んだ後の不正子宮出血や、妊娠初期の出血は通常の月経と区別が困難ですので、服用3週間後妊娠反応検査を実施してください。 ノルレボ錠の服用2時間以内に吐いてしまった場合は、もう一度服用してください。 ノルレボ錠を服用した後も、性交時は適切な避妊方法を実施してください。 その他、ノルレボ錠の服用に際しては、患者向医薬品ガイドや、服用方法をお読みになり、ご不明な点は医師・薬剤師にご相談ください。 日本では残念ながら緊急避妊薬のOTC化は見送られアクセスの容易性に懸念がありますが、個人輸入でしたら引き続きご手配ができます。医師の処方とは異なり、前もって薬を手元に準備しておくこともできます。 ただ重ねてとなりますが、緊急避妊薬はあくまで緊急的に用いる薬ですので、適切な避妊方法の実施と、服用した場合は3週間後の妊娠反応検査を推奨いたします。

この記事をシェアする

ページ上部へ戻る