筋トレと精子の深い関係

こんにちは、ケミスト黒岩です。今日は筋トレと精子について語りたいと思います。

瀬戸大也選手の不倫が報道されて、やっぱスポーツ選手は性欲旺盛なんだなと思った次第ですが、スポーツや筋トレと性欲、精子の関係ってどんなもんなんでしょうか。

競技前は禁欲がスタンダード?

古代では、禁欲は運動能力を確実に発揮するために最良の方法であると考えられていました。ローマとギリシャの教育者は、大きな犠牲が成功を維持できると信じていたのです。

今でも少なくないコーチがスポーツ競技の前に禁欲の重要性を支持するのはこうした背景や、自身の経験によるのでしょう。性的欲求不満が溜まった状態では攻撃性の増加につながるため、射精をすることでこうした攻撃性や筋力が失われることを危惧しているのです。

また、射精をすると、プロラクチンオキシトシンというホルモンが出ます。そのうちオキシトシンは、人間関係を高め信頼関係を高める効果があるとして海外で商品化もされ話題となっているホルモンですが、問題なのはプロラクチン。

プロラクチンには、コルチゾールの活動を高めてしまう働きをもっており、このコルチゾールには筋肉を分解する作用があります。せっかく筋トレしても、射精により活性の高まったコルチゾールが筋肉を分解してしまうことに。

精液には、亜鉛やアルギニンが含まれているため、そうした栄養成分も体外に放出してしまうことにつながります。

オキシトシン治療で表情が豊かに?(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)

筋トレをすると精子も鍛えられる

射精をすると競技パフォーマンスに影響するだけでなく、筋トレをすることで精子が鍛えられるという研究結果も!

筋トレをした人と、しなかった人で比較すると、筋トレをした方が抗酸化物質の産生を促し、酸化ストレスを低下させることができています。さらには、精液所見やDNAの損傷を改善しており、妊娠率、出産率も改善する結果となっています。
Resistance exercise modulates male factor infertility through anti-inflammatory and antioxidative mechanisms in infertile men: A RCT

禁欲はパフォーマンスに影響しないとの研究結果が!

今までの話でやはり競技前にSEXをするのは良くないんだとなりそうですが、話はそう簡単には終わりません。なんとSEXと競技のパフォーマンスについて研究した論文があるのです。
Sexual Activity before Sports Competition: A Systematic Review

研究では、SEXが競技の少なくとも2時間前に行われた場合に悪影響を及ぼさないと結論付けています。

また、SEX自体は一般的に平均100キロカロリーしか消費せず、これは軽くジョギングする程度で、疲労により競技パフォーマンスが落ちるというのも考えづらいとしています。

そして、むしろSEXに励むことで心理的な観点によるリラックス効果から、持久力(マラソン)または集中力(アーチェリーまたはピストル射撃)を要するスポーツでの競争ストレスを和らげるのに役立つ可能性があるというのです。

競技前にSEXをするとパフォーマンスが落ちるという逸話は、コルチゾールによる筋肉分解や、栄養成分の体外への放出など、いくつか理由は付けられますが、実際にはパフォーマンスに影響するほどではないといえます。生理的な原因や疲労感によるものではなく、単純な個人差によるものか、SEXによる寝不足が大きいのでしょう。

精子を使った驚きの美容法

精液は、液体成分である精漿(せいしょう)と、細胞成分である精子とで構成されています。

中でも液体成分の精漿(せいしょう)には、タンパク質アミノ酸をはじめ、果糖(フルクトース)、ブドウ糖(グルコース)、亜鉛、カルシウム、ビタミンCなどの栄養素が含まれています。巷では精液を顔に塗ると美容効果があるというウソみたいな話もありますが、こうした栄養成分が肌に良いという理屈で広がっているようです。

そして、本当に実践している方もいるのだとか・・・
イギリスのTracy Kissさんは、YouTubeで自身の美容法について紹介しています。それは精液を顔にパックのように塗り、5分~20分程放置するというもの。

Semen Facial Tutorial With Tracy Kiss

しかしながら、この美容法は医学的に効果が証明されたわけではありません。

精液のタンパク質濃度は平均で100mLあたり5,040mgほどで、市販のプロテインバー1本でも20g前後のタンパク質が含有されていることを考えるとかなり少量です。同様にほかの栄養成分もわずかといえるでしょう。

また精液は体液ですから、淋病、ヘルペス、梅毒、クラミジア、B型肝炎、HIVも、精液を通しての感染が理論上あり得ます。ちなみに先ほどのTracy Kissさんへの精子提供元である男性の友人は、性感染症の検査を受けたうえで毎日、フレッシュな精液を届けているようです。

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