美白クリームで健康被害
ハイドロキノン含有のユークロマクリームで水ぶくれが起きたとの報告です。
海外製クリーム剤の使用により健康被害(疑い)が発生しました。
今月22日、厚生労働省からこんなお知らせがありました。まだ原因はあきらかになっていませんが、医師の診断ではアレルギー反応による可能性が高いとのことです。
いま美白クリームを使っている方や、これから使おうと考えている方の中には、ご不安な方も多いと思います。今回は、このアレルギー反応について解説します。
ハイドロキノン
今回、報告のあったユークロマクリームは、ハイドロキノンを含有した外用剤です。メラニン色素をつくるチロシナーゼという酵素の働きを弱めることで、シミなどの色素沈着を改善します。
ハイドロキノンは、最近では日本製の化粧品にも配合されていて、特別危険な成分というわけではありません。しかしながら、皮膚刺激性はありますので、多少の刺激感や赤みが生じる場合はあります。ただ皮膚刺激性がむしろ問題になるのは、ハイドロキノンと同時によく使われるトレチノインです。通常、刺激感や赤みなどの副反応は使い続けることにより軽くなりますし、併用しているトレチノインを中止すれば改善されることが多いです。
ハイドロキノンは酸化しやすい成分であるため、開封後は速やかに使い切るのが大切です。極端に変色したり、酸化したりしたハイドロキノンは、皮膚刺激性が高くなっている上、肝心の美白効果は損なわれています。
アレルギーの原因
アレルギーの原因がハイドロキノンということも十分考えられますが、私は添加剤が原因なのではと考えています。今回、問題になったユークロマクリームでは、添加剤としてピロ亜硫酸ナトリウム(Sodium Metabisulphite)が含まれています。ピロ亜硫酸ナトリウムをはじめとする亜硫酸塩は、アレルギー反応の原因となることがあるのです。主な亜硫酸塩:
ピロ亜硫酸ナトリウム(Sodium Metabisulphite)、亜硫酸ナトリウム(Sodium Sulfite)、ピロ亜硫酸カリウム(Potassium Metabisulfite)など
外用剤には、有効成分以外にも添加剤が含まれていますので、どの成分がアレルギーを引き起こすのかを特定するのは困難です。自分の皮膚に適しているかを確認するためには、パッチテストが有効です。過去にその外用剤で異常がなくても、体質の変化によりかぶれるということがありますので、パッチテストは毎回、行うようにしましょう。
パッチテストの方法
パッチテストは、実際の外用剤を少量とり、腕の内側に10円硬貨ほどのサイズにうすく塗ります。そのまま乾燥するまで30分ほど待ち、余分なクリームはコットンやティッシュで軽く押さえるように拭き取ります。そのまま48時間放置し、この間はテスト部位を濡らさないために、入浴やシャワーは控えてください。やむなくシャワーなどをする場合には、テスト部位を濡らさないように注意しましょう。
テスト部位の観察は、外用剤の塗布30分後と、48時間後の2回行います。もし、塗布部の皮膚に、発疹、発赤、かゆみ、水疱、刺激など皮膚の異常があった場合には、すぐに洗い落として、テストした外用剤の使用は行わないでください。
現在、ユークロマクリームを使っている方へ
今回の報告では、ユークロマクリームやハイドロキノン自体の危険性が指摘されているわけではありません。現在、使用していて異常がなければ、そのまま使い続けていただくことに問題はありません。接触皮膚炎などのアレルギー反応は、外用剤だけでなく、化粧品でも起こる可能性はあります。どんな製品を使うときでも、パッチテストをしっかり行うようにしましょう。