雑学Vol.15「二日酔い」vs「薬剤師」
ハイチオールCが二日酔いに効く！
こんにちは、薬剤師の黒岩です。 本日は、二日酔いについて解説します。
アルコールを飲むとどうなる？
飲んでいる時は楽しいんだけど、翌朝後悔してしまう。そんな二日酔い、皆さん一度は経験したことがあるのではないでしょうか。 さて、まずはアルコール（エタノール）を飲んでから分解されるまでを見ておきましょう。
アルコール（エタノール）を飲むと、胃や小腸で吸収されて、肝臓で分解されます。空腹時に酔うのがはやいのは、アルコール（エタノール）の胃・小腸での吸収がはやまるからですね。お酒を飲む前にサラダやナッツなどを食べておくことで、防ぐことができます。
また、アルコール（エタノール）は肝臓で分解されるわけですので、肝臓に負担がかかるタバコも避けたほうが無難です。
二日酔いの原因はアセトアルデヒド！
次に肝臓内を見てみます。肝臓では、2つの酵素が働いて、アルコール（エタノール）を無害な酢酸（アセテート）に代謝していきます。
この2つの酵素には、個人差・人種差があり、一般に白人がアルコールに強いのは、アルデヒド脱水素酵素（ALDH）の活性が強いからです。アルコール（エタノール）を飲んでも、すぐにアルデヒド脱水素酵素（ALDH）によって無害な酢酸に代謝されているのですね。
悪酔いの原因はアセトアルデヒドであり、お酒が弱い人はアルデヒド脱水素酵素（ALDH）の活性が弱いために、なかなか酢酸に代謝できずにアセトアルデヒドによる悪影響を多く受けてしまいます。このアセトアルデヒドが代謝できずに翌朝まで残った状態が、二日酔いです。
アルデヒド脱水素酵素（ALDH）を助ける薬
もともとアルデヒド脱水素酵素（ALDH）の活性が低い日本人。このアルデヒド脱水素酵素（ALDH）を助ける薬があるのです！ それが、 シミのんで治そう、ハイチオールC♪
シミ・そばかすやニキビの市販薬として有名なハイチオールCですが、もとは二日酔いの薬って知っていましたか？
ハイチオールCの説明書を読むと、今でもちゃんと効能・効果に二日酔の記載があります。女性向けの薬というイメージが強いハイチオールCですが、効能・効果には全身倦怠感もあり、男性にも嬉しい効果があるのがわかりますね。
ハイチオールCの主な有効成分は、L-システインです。L-システインは、肌のターンオーバー（代謝）を促進してシミ・そばかすの原因であるメラニンの排出を促したり、アルコール脱水素酵素（ALDH）の働きを助けてアルコール代謝を促したりします。
L-システインの進化版・NAC
実はこのL-システインの進化版ともいえる成分があるのです。その名は、NAC！ NACとは、N-アセチルシステイン（N–acetylcysteine）の略です。
左がN-アセチルシステイン、右がL-システイン
NACは、体内への吸収をより高めるためにL-システインをアセチル化しています。
ハイチオールCは180錠入り（30日分）で2000円ほどですが、NACであれば海外製のサプリメントがもっと手ごろな価格で手に入ります。しかも、1錠あたりの配合量も海外製サプリメントは多いのでおすすめです。
二日酔いの防止でNAC（N-アセチルシステイン）を飲む場合は、飲酒前に1回600mgを目安にしましょう。
そのほか二日酔いにおすすめの薬
お酒を飲むとトイレが近くなりますよね。それはアルコール（エタノール）に利尿作用があるから。 お酒を飲んでも、飲んだ以上の水分が尿として排出されてしまうため、水分補給ができず、飲酒量が多いと脱水症状を起こすことがあります。また、排尿が増えるので、水溶性のビタミンも多く排泄されてしまいます。 脱水症状といえば、熱中症対策にも使用される補水液OS-1です。
OS-1は、ナトリウムなどの電解質と、ブドウ糖などの糖分がバランスよく配合されているため、脱水症状に適しているのです。
そして、失われた水溶性のビタミンはサプリメントで補いましょう。お酒を飲むと、水溶性ビタミンの中でも特にチアミン（ビタミンB1）が不足しがちです。
アリナミンなどのビタミンB製剤がおすすめですよ。