「プエラリア・ミリフィカ」のサプリメント
健康被害がニュースになった成分ですが、本当のところは?
こんにちは、薬剤師の黒岩です。
本日は、プエラリア・ミリフィカについて解説します。
プエラリア・ミリフィカは、美肌やバストアップなど、主に女性向けのサプリメントに配合されている成分です。2017年に報道された国民生活センターからの注意喚起をご存知の方もいると思います。
さて、プエラリア・ミリフィカは、そんなに危険な成分なのでしょうか。
健康被害の内訳は、生理不順が30.0%と一番多く、次にアレルギー、不正出血と続きます。
この内訳、どこかで見たことないですか?
ここで女性ホルモン製剤ヤーズ配合錠の副作用を見てみましょう。
月経過多、無月経、過少月経、不正子宮出血と、プエラリア・ミリフィカの健康被害と似たような副作用がありますね。つまり、プエラリア・ミリフィカによる健康被害は、女性ホルモン様作用がたしかにあるということを示唆しているのです。
ただし女性ホルモン様作用が強いということは、飲み方には気を付けるべきでしょう。原産国のタイでは、プエラリア・ミリフィカの1日摂取量は100mg以下に制限しています。そのほか、プエラリア・ミリフィカと飲み合わせの悪い医薬品やサプリメントがあるので、それらとの併用には注意が必要です。
糖尿病治療薬
プエラリア・ミリフィカは血糖値を下げますが、糖尿病治療薬も血糖値を下げるために使われます。併用すると血糖値が下がりすぎることがあります。例)グリメピリド、グリベンクラミド、インスリン、ピオグリタゾン塩酸塩、ロシグリタゾン、クロルプロパミド、グリピジド、トルブタミドなど
経口避妊薬
避妊薬にはエストロゲンを含んでいるものがありますが、プエラリア・ミリフィカはエストロゲンと同じ作用をもっていると思われます。併用すると、避妊薬の効果が減少することが考えられます。避妊薬と併用する場合は、コンドームのような避妊法も合わせて用いてください。例)エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合、エチニルエストラジオール。ノルエチステロン配合など
抗血栓薬(抗凝固薬・抗血小板薬)
プエラリア・ミリフィカは、血液凝固を抑制するので、抗血栓薬と併用すると、紫斑や出血が生じる可能性が高くなると考えられます。例)アスピリン、クロピドグレル硫酸塩、ジクロフェナクナトリウム、イブプロフェン、ナプロキセン、ダルテパリンナトリウム、エノキサパリンナトリウム、ヘパリン、ワルファリンカリウムなど
メトトレキサート(抗悪性腫瘍薬・代謝拮抗薬)(抗リウマチ薬・低分子抗リウマチ薬)
プエラリア・ミリフィカは、メトトレキサートの体内からの排出を抑制する可能性があるので、メトトレキサートの副作用が現れる危険性が高くなると考えられます。タモキシフェンクエン酸塩(抗悪性腫瘍薬・抗エストロゲン薬)
ある種のがんは体内のホルモンの影響を受けますが、エストロゲン感受性のがんは、体内のエストロゲン値の影響を受けるがんです。タモキシフェンクエン酸塩は、この種のがんの治療と予防に使われています。プエラリア・ミリフィカもまた体内のエストロゲン値に影響するため、タモキシフェンクエン酸塩の効果を弱めることがあります。血糖値を下げるハーブおよび健康食品・サプリメント
プエラリア・ミリフィカは、血糖を下げる可能性があります。同様の作用があるほかのハーブおよび健康食品・サプリメントと併用すると、血糖が下がりすぎる恐れがあります。例)α‐リポ酸、ニガウリ、シナモン(カシア)、クロム、デビルズクロー、フェヌグリーク、ニンニク、グアーガム、セイヨウトチノキ、朝鮮人参、ポプラ、レッドクローバー、ウコンなど
血液凝固を抑制するハーブおよび健康食品・サプリメント
プエラリア・ミリフィカは、血液凝固を抑制する可能性があります。血液凝固を抑制するほかのハーブおよび健康食品・サプリメントと併用すると、紫斑や出血の危険性が高まります。例)アンゼリカ、クローブ、タンジン、フェヌグリーク、フィーバーフュー、ニンニク、ショウガ、イチョウ、朝鮮人参、ポプラ、レッドクローバー、ウコンなど
エストロゲン(女性ホルモン製剤・卵胞ホルモン)と似た働きをするハーブおよび健康食品・サプリメント
プエラリア・ミリフィカは、一部のハーブおよび健康食品・サプリメントと併用すると、エストロゲン(女性ホルモン製剤・卵胞ホルモン)様効果を強めたり弱めたりします。例)アルファルファ、ブラックコホシュ、セイヨウニンジンボク、亜麻の種子、ホップ、イプリフラボン、甘草、レッドクローバー、大豆など