雑学vol.19 「五月病」vs「薬剤師」

~知ることが大切!五月病の原因と対処法~

こんにちは。薬剤師の鈴木です。 天皇陛下の皇位継承に伴って、今年のゴールデンウイークは史上初の10連休でしたね。 遠出したり、ひたすら寝たりと、思い思いに過ごされたことと思います。 ところでこれを読んでいる皆さん、五月病、大丈夫ですか? 長期休暇のあとは、五月病に用心です。今回は五月病の原因を読み解き、対処法についてお伝えできればと思います。 すでに疲れて気持ちもブルーな方は、肩の力を抜いてちょろっと立ち寄ってみてください。 bf25738eee2ebae427ec2fbbf33cf27e_s

五月病とは
4月から緊張感をもって新しい環境に適応しようと頑張ってきた人達が、ゴールデンウイークという長期休暇によって緊張の糸がプツっと切れることで、それまで耐えられてきた数々のストレス要因に適応できなくなってしまう状態を、一般に五月病といいます。 会社や学校へ行くことが億劫になったり、食欲や意欲が湧かなくなったりと、ブルーな気持ちが悪循環して、日常生活に支障が出てしまうケースも珍しくありません。 五月病はうつ病の一種と捉えられることがありますが、これは違います。 五月病には原因(ストレス)があり、その原因にうまく対処できなくなる状態であるため、適応障害の一つと考えられます。適応障害は原因が解決すれば治ることが多いため、原因を知って早期対策することが大切です。
なぜ五月病になるのか
前述のとおり、五月病は原因があって起こる症状です。五月病かも、と思った方はまず原因を探ってみましょう。 ストレスの大きい環境 ストレスの原因はさまざまです。また体調を崩すまでは、それがストレスの原因であったと気が付かない場合も多いです。 転職や異動、転校、引っ越し、結婚、離婚、単身赴任、海外転居、家族や友人との不和、職場やご近所との対人関係、出産や育児、介護、病気、ケガ、金銭的困窮、仕事や学業でのつまずき 新年度になってから、一例に挙げたような変化があった方は、それらの変化がストレスの原因になっている可能性があります。 ライフスタイルの乱れ ライフスタイルの乱れは、生理的なストレスに直結しています。 睡眠時間が極端に短いまたは長い、睡眠の質が悪い、昼夜が逆転している、暴飲暴食や栄養不良、運動不足などは、五月病の原因になると考えられます。 また普段は規則正しい生活を送っていた方でも、長期休暇中にそのリズムを崩してしまうことで五月病になってしまう可能性があります。 体質の問題 ストレスのかかり方には大きな個人差があります。 同じ環境に置かれていても、それをストレスに感じる人もいれば感じない人もいるということです。例えば転職は一般的には大きなストレスだと考えられますが、これをストレスと感じない人もいます。 このストレスに対する感じ方の度合いを、ストレス耐性と呼んだりします。 ストレス耐性が低い人ほど五月病にもなりやすいのです。 e68e12f8697948e1d86eaa5eadbc5525_s
五月病の対処法
五月病の主な原因を知ったところで、続いてはそれぞれの対処法について見ていきましょう。 ストレスを減らす ストレスの原因を解消できる場合は、根本的にそのストレスを解決することが有効です。例えば金銭的困窮でストレスを抱えている人は、家族や相談できる相手に打ち明けて一緒に解決してもらう、などです。 生理的なストレス以外は、一人ではどうにもならないことが多いです。相談相手を見つけることは解決の第一歩かもしれません。 ストレスから離れる ストレスの原因は分かったものの、根本的に解消することはできない場合は、離れるという方法が有効です。 例えば家族や友人との不和がある場合、話し合うなどして解決できれば一番ですが、それが難しい場合は一時的にでも一旦距離を置いてみるのです。心身ともに回復してくると、改めてそういった問題と向き合えるようにもなるため、「永遠の別れ」と重く捉えなくても案外大丈夫だったりします。 ストレスに強くなる こちらは一朝一夕で身に付くものではありませんが、ストレス耐性をアップさせることでストレスの原因は変えられなくても、ストレスを感じにくくすることができます。すなわち、ストレスの原因を取り除くこと以上に根本的な改善につながるとも言えます。 そもそもストレス耐性が低いことを卑下してしまう方がいるかもしれませんが、これは自分のせいではありません。そしてまた、改善することができるものです。 ストレス耐性をアップさせる方法は、呼吸法やストレスコーピング、認知行動療法など、インターネット等でも情報が沢山ありますので、自身に合った方法が見つかると良いと思います。 ライフスタイルを見直す カラダに良い生活をするだけで、ココロや気持ちも健全になります。まさに心身一如という言葉の通りで、ココロとカラダは切り離して考えられないものなのです。すぐに取り入れられる対処法をいくつかご紹介します。 ●睡眠の改善 夜はスマホやPCを見ない・夜は部屋の明かりを暗くする・日中に光を沢山浴びる・お風呂(湯船)は就寝の90分前に入る・寝酒をしない 上記の方法はそれぞれ、睡眠の質を良くすると言われています。一つ一つに理由がありますが、長くなってしまうのでまたの機会に解説したいと思います。 ●食事の改善 トリプトファンを摂る トリプトファンは体で合成されないアミノ酸(必須アミノ酸)のひとつです。トリプトファンは体の中でセロトニンやメラトニンという物質に変化するのですが、これらの物質は精神安定作用や良質な眠りをもたらす作用などの重要な役割をもっています。 赤身の肉や青魚、豆類、チーズやバナナに比較的多く含まれていると言われているので取り入れてみてはいかがでしょうか。 ●運動をする 体を動かしたあと気分がスッキリした経験はありませんか。この現象は科学的に証明されており、運動することでセロトニンの分泌が増えて、それが脳に作用することで精神の安定化につながっているのです。 デスクワークが中心の方などは、徒歩や自転車を利用するなどして通勤に運動を取り入れてみるのも良いかもしれません。 0d316ae75dc04bbe04f30534cbe302f5_s
まとめ
自分の身体の事をよく知り、自分に合った方法で、健やかな毎日を送りたいものですね。 とはいえ、すでに健やかさを失ってしまった方は心身を休めることが先決です。 疲れに気づけた方は「自分を休ませるチャンス」と捉えて一度立ち止まって深呼吸してみてはいかがでしょうか。 それでは、私もこの辺で。またお会いしましょう。

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