雑学Vol.4「コンタクトレンズ」vs「薬剤師」

コンタクトレンズをつけたまま点眼できる目薬とは...

こんにちは!薬剤師の黒岩です。 本日は、コンタクトレンズと、目薬についてご紹介いたします。

よくあるご相談
コンタクトレンズを使用している方によく「この目薬はコンタクトの上から点眼できますか?」とのご質問をいただきます。 コンタクトレンズの上から点眼できるか否かは、それぞれの目薬で異なり、基本的には眼科医の指示か、説明書の指示に従っていただきます。ここでは、簡単にコンタクトレンズの上から点眼できるか確認する方法を解説します。
コンタクトレンズの種類
まず、コンタクトレンズには、大きく分けてハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズがあります。 多くの場合、問題になるのはソフトコンタクトレンズであり、使用者が多いのもまたソフトコンタクトレンズです。 これはソフトコンタクトレンズに、薬物を吸着する性質があり、毎日の点眼で少しずつ防腐剤などの眼に有害な成分が蓄積・濃縮されてしまうためです。対して、ハードコンタクトレンズは薬物を吸着しづらいため、ソフトコンタクトレンズほど気にする必要はありません。
角膜に影響を及ぼす防腐剤
防腐剤の中でよく使われているのが、ベンザルコニウム塩化物です。ベンザルコニウム塩化物は、濃度と接触時間に関連して、角膜炎や角膜びらんなどの角膜上皮障害の原因となります。また、コンタクトレンズの変形や変色を招く恐れもあります。 通常使用では問題のないベンザルコニウム塩化物ですが、ソフトコンタクトレンズに吸着されると、濃度と接触時間のどちらも上昇してしまいます。必ずソフトコンタクトレンズを外してから点眼するようにしましょう。 ほかにも、涙液が充分に分泌されないドライアイの方は、眼表面にベンザルコニウム塩化物が滞留しますので、頻回使用の際は気を付けてください。 ベンザルコニウム塩化物以外にも、ソフトコンタクトレンズ装用中は避けるべき成分に、パラベン類(メチルパラベン、エチルパラベン)、クロロブタノールなどがあります。
点眼後のコンタクトレンズ再装用
点眼時に外したソフトコンタクトレンズを再装用する場合は、点眼後10分ほど間隔をあけてからにしてください。 ただし、点眼後ゲル化する効果持続性の目薬(ジェランガム配合)などはこの限りではありません。医師・薬剤師にご相談ください。
防腐剤以外にも気を付けたい成分
市販の目薬に配合されていることの多い「血管収縮剤」はなるべく避けることをおすすめします。 コンタクトレンズ装用中は、裸眼よりも酸素の供給が少なくなっています。「血管収縮剤」を使って、血管を収縮すると一時的に充血は改善されますが、酸素の供給をより悪化させてしまいます。薬の効果が切れると、再度酸素を供給しようと血管が拡張して、かえって充血を悪化する場合がある上、何度も使用していると薬の反応性が低下します。 「血管収縮剤」には、ナファゾリン、フェニレフリン、テトラヒドロゾリンなどがあります。
最後にひとこと
コンタクトレンズを装用したまま点眼したい方は、防腐剤フリーの目薬を探しましょう。 1回使いきりタイプの目薬や、フィルター付きの特殊なPF容器・NP容器の目薬が代表格です。

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