雑学Vol.5-2「花粉症」vs「薬剤師」2017年版

最新の「鼻アレルギー診療ガイドライン」について解説します。

こんにちは、ケミスト黒岩です。 多くの地域で花粉飛散のピークを迎える3月。みなさんいかがお過ごしでしょうか。 今回も前回に引き続き花粉症の治療についてです。鼻アレルギー診療ガイドラインをご紹介します。 2017年最新の花粉症治療薬については雑学Vol.5「花粉症」vs「薬剤師」2017年版もご覧ください。

診療ガイドライン
「花粉症にはゆずが効く」「花粉症にはヨーグルトが効く」…など巷にはありとあらゆる民間療法の情報が溢れていますが、しっかりとした根拠のある治療を行なう上で欠かせないのが診療ガイドラインです。 「診療ガイドライン」とは、症状ごとに適切な処置方法を科学的根拠に基づき専門家がまとめた指針です。「診療ガイドライン」に示されているのはあくまで一般的な診療方法であるため、必ずしも個々の症状に適するとは限りませんが、多くの方に効果のある基準となる治療法といえるでしょう。 では、花粉症治療の診療ガイドラインである「鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症〈2016年版〉」を見てみましょう。(現在、2016年版が最新です。) ガイドライン 拡大表示する 症状「くしゃみ・鼻漏型」「鼻閉型」や重症度によって細かく分類されているのがわかります。(くしゃみ・鼻漏と鼻閉が同程度の場合は「充全型」です。) くしゃみ・鼻漏型 くしゃみや鼻水が多く出るタイプ 鼻閉型 鼻が詰まるタイプ 重症度は、「くしゃみ・鼻漏」あるいは「鼻閉」症状が日常生活において手につかないほど苦しい場合、重症または最重症になります。 日常生活において「あまり差し支えない」~「手につかないほど苦しい」の中間程度の場合、重症度は中等症になり、多くの方がこの「中等症」に該当するのではないでしょうか。
「くしゃみ・鼻漏型(中等症)」の治療薬
ここでは、くしゃみや鼻水が多く、日常生活にそこそこの支障があるくしゃみ・鼻漏型(中等症)を確認してみます。 表にあるとおりくしゃみ・鼻漏型(中等症)の治療薬は、 第2世代抗ヒスタミン薬 メキタジン(ゼスラン、ニポラジン)、ケトチフェンフマル酸塩(ザジテン)、アゼラスチン塩酸塩(アゼプチン)、オキサトミド(セルテクト)、エメダスチンフマル酸塩(ダレン、レミカット)、エピナスチン塩酸塩(アレジオン)、エバスチン(エバステル、エバステルOD)、セチリジン塩酸塩(ジルテック)、レボセチリジン塩酸塩(ザイザル)、ベポタスチンベシル酸塩(タリオン、タリオンOD)、フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ、アレグラOD)、オロパタジン塩酸塩(アレロック、アレロックOD)、ロラタジン(クラリチン、クラリチンレディタブ)、デスロラタジン(デザレックス)、ビラスチン(ビラノア) 鼻噴霧用ステロイド薬 ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(リノコートパウダースプレー鼻用)、フルチカゾンプロピオン酸エステル(フルナーゼ点鼻液)、モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物(ナゾネックス点鼻液)、フルチカゾンフランカルボン酸エステル(アラミスト点鼻液)、デキサメタゾンシペシル酸エステル(エリザス点鼻粉末) から1剤ずつを選び、合計2剤を使用します。 また、眼症状がある場合は、これらに加えて点眼用抗ヒスタミン薬または点眼用遊離抑制薬を併用します。 具体的な薬剤名については、下段に記載してありますのでご確認ください。 「花粉症治療薬」には、作用の仕方に種類があり、剤形(内服・点鼻・点眼)も様々あります。ご自身の症状に合った「花粉症治療薬」を医師・薬剤師と相談して、お選びください。
花粉症治療薬の分類
点眼用抗ヒスタミン薬 ケトチフェンフマル酸塩(ザジテン)、オロパタジン塩酸塩(パタノール)、レボカバスチン塩酸塩(リボスチン)、エピナスチン塩酸塩(アレジオン) 点眼用遊離抑制薬 アシタザノラスト水和物(ゼペリン)、イブジラスト(アイビナール、ケタス)、トラニラスト(リザベン)、ペミロラストカリウム(アレギサール) 遊離抑制薬(ケミカルメディエーター遊離抑制薬) トラニラスト(リザベン)、ペミロラストカリウム(アレギサール、ペミラストン) 抗LTs薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬) プランルカスト水和物(オノン)、モンテルカストナトリウム(キプレス、シングレア) 抗PGD2・TXA2薬(プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2拮抗薬) ラマトロバン(バイナス) Th2サイトカイン阻害薬 スプラタストトシル酸塩(アイピーディ) ※太字は成分名、カッコ内は商品名です。

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