雑学Vol.6「薬の分割」vs「薬剤師」
薬を割ったり、粉砕したり。カプセルから出したり。その注意とは?
こんにちは、ケミスト黒岩です。
突然ですが、薬を分割するとき、みなさんどうしていますか?
錠剤でしたら、オオサカ堂でも取扱いのあるピルカッターや、スプーンの裏を使って、割る・粉砕する方法があります。また、カプセル剤でしたら、カプセルから出す脱カプですね。
さて、薬を分割するときの注意です!
通常、錠剤はフィルムコーティングなどがされており、錠剤表面を触るだけでは、薬の成分に触れないようになっていることが多いです。 ただ、割ったり粉砕したりしてしまうと、このコーティングは壊れてしまいますので、薬の成分が剥き出しの状態になってしまいます。薬の分割作業をした後、手を洗わずに目を擦ったり、子どもと遊んだりする行為は大変危険です。 薬を服用する前後で、しっかりと手洗いをするようにしましょう。また、薬の分割作業をするときは、薬の成分が粉として舞いますので、子どもから離れた場所で行なってください。必要に応じて、手袋やマスクをするのが安全です。
プロペシア錠(フィナステリド)の例
たとえば、男性型脱毛症(AGA)治療薬のプロペシア錠は、男性専用の薬で妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人は禁忌となっています。これは、フィナステリドに催奇形性(妊娠中の女性が薬物を服用したときに胎児に奇形が起こる危険性)があるためです。
プロペシアは錠剤表面がコーティングされているため、通常の取扱いでは薬の成分そのものに触れることはありませんが、割ったり粉砕したりした場合には、皮膚からフィナステリドが吸収(経皮吸収)されてしまいます。
こうした理由から、プロペシア錠は原則、割らないように薬局では指導しています。どうしても割る必要がある場合は、女性が触れないように配慮する必要がありますのでご注意ください。
ちょっと豆知識「割線」
錠剤を見てみると、半分に割りやすいように真ん中に線が入っているものがあります。(十字のものも。)この線を割線(かっせん)と呼びます。錠剤を割りやすいように線が入れてあるのですが、実はただ線を入れてあるだけではなく、
割線の入っている錠剤は、割線で割ったときに左右で有効成分が同量含まれていること(含量の均一性)が、しっかりと試験で保証されています。
逆にいうと、割線のない錠剤を半分に割っても、有効成分が正確に半分になるかはわからないということですね。とはいっても、薬局では医師の指示のもと、割線のない錠剤を割ることは日常的に行なっていますので、ご安心を!