雑学Vol.3「花粉症」vs「薬剤師」

ラクに乗り切るには、初期療法が大切。

こんにちは!薬剤師の黒岩です。 本日は、最新の花粉症治療と、初期療法についてご紹介いたします。

花粉・黄砂の飛散時期
花粉の飛散開始時期は地域により異なりますが、早いところでは二月上旬から始まります。 また、黄砂も3月から5月にかけて飛散します。黄砂は花粉症・アレルギーを悪化させるリスクがあるといわれており、注意が必要です。外出時はマスク・帽子・メガネをつけて、帰宅後は目や鼻をよく洗い、うがいをするように心掛けましょう。
最新の花粉症治療「減感作療法」
今メディアを中心に、最新の花粉症治療が話題になっています。 最近、保険適応となった「シダトレン」です。今まで花粉症の治療は対症療法と呼ばれる“病気そのものではなく症状を抑える治療法”が中心でしたが、この「シダトレン」を用いた「減感作療法」は、花粉症そのものを治療することができるため、注目を集めています。 ちなみに「減感作療法」とは、アレルギーの原因物質である“アレルゲン”を、少量から投与することで体を徐々に慣らしていく治療法のことです。 この「減感作療法」自体は以前から、注射により行われていましたが、注射による痛みや、通院の手間、行える施設が限られているなどの理由から普及しませんでした。対して、「シダトレン」は舌下に投与するため、自宅で治療できるのが特徴です。 花粉症に悩む方には、まさに夢のような治療法に思えますが、デメリットもあります。 まず、「シダトレン」はスギ花粉由来の“アレルゲン”を含む液であるため、急性の過敏反応であるアナフィラキシーショックなどが起こる可能性があります。そのため、副作用に対して適切な処置ができる十分な知識・経験を持つ医師のもとで治療をする必要があります。 また、血液検査を受け、スギ花粉の抗体が陽性であることを診断された方のみの適応です。およそ20%の方には効果がなく、最低二年間、毎日続けなければいけない治療法となります。 そして、花粉の飛散時期には、この「減感作療法」を開始できません。6月から11月頃が治療開始時期として望ましいでしょう。
つよい症状がでる前に。
花粉症の症状を軽く抑えるためには、「初期療法」が重要です。 「初期療法」とは、つよい症状がでる前から薬を使い始めることで、花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすくする方法です。薬を飲み始める時期としては、“症状が少しでも現れた時点”あるいは“花粉飛散予想日”が適しています。 花粉の飛散状況は、インターネットを利用して随時チェックしましょう。
黒岩のイチオシ治療薬
花粉症の治療薬は、たくさんありすぎてどれを選べばよいかわからないという方も多いかと思います。鼻づまりには、シングレア(モンテルカスト)などの抗ロイコトリエン薬、くしゃみ・鼻水には、第二世代の抗ヒスタミン薬が現在の主流です。 第二世代抗ヒスタミン薬の中でも、アレグラ(フェキソフェナジン)は特に副作用の眠気が少ないため、おすすめです。抗ヒスタミン薬の中では唯一、添付の説明書に自動車運転を控える旨の注意が記載されていません。 ただ、効き目に物足りなさを感じるというご意見もよく耳にします。そんな方に、おすすめしたいのが、『ザイザル(レボセチリジン)』です。『ザイザル』は、OTC医薬品の「コンタック鼻炎Z」「ストナリニZ」に配合されているジルテック(セチリジン)の改良版です。 ジルテックは、効き目がつよい反面、副作用の眠気もつよいのが欠点でした。この『ザイザル』は、光学分割という分離方法により、ジルテックのつよい効き目はそのままに、眠気を抑えた新しい薬です。また、1日1回就寝前だけの服用で1日中効くのもアレグラにはないメリットです。ただし、この『ザイザル』は薬局・ドラッグストアでは購入できません。 気になる方は、花粉シーズン前にお医者さんに相談することをおすすめします。

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